JCEP:Japan Clean Environment Promotion

第10回講演会『温泉地熱発電のスマート利用~』開催報告(6月17日開催)

2016年7月15日金曜日 12:07 PM, 記事カテゴリー:活動報告,講演会・イベント, 投稿者:namikishinntaro
JCEP講演会(2016/06/17)

 一般財団法人日本クリーン環境推進機構(JCEP)は、2016年6月17日(金)に、東京ビックサイトで開催されました展示会「スマートコミュニティJAPAN2016」の併催シンポジウムとして、「温泉地熱発電のスマート利用~温泉バイナリー発電による温泉熱水の魅力的なカスケード利用とまちづくり~」と題し、展示会メインステージにて講演会を開催致しました。

 

FIT制度や規制緩和、金融機関の投融資制度などによって、漸く小規模な温泉発電でも、ビジネスとして成り立つ見込みが出てきている。 一方で、貴重な温泉資源を使って売電収益を得るだけではなく、暖房や融雪、ハウス栽培などにカスケード利用することで、地域への利益還元と、まちづくりに活かすことで、地域との共存共栄を計ることが重要です。

温泉地や温泉旅館様が主体となって、自主的な事業活動として地域活性化に貢献できるこの「温泉発電」を、本講演会を通じて、より広くご理解いただくとともに、支援者を増やし、より活発化して参りたいと存じます。


なお、講師の方々ご好意により、本講演資料を一部公開しております。 下記よりご参考頂ければと存じます。


開会の挨拶   JCEP理事長 石村 毅

  石村毅

地熱資源、とりわけ我が国に豊富に賦存する温泉地熱資源は、持続性のある未利用エネルギー資源としてのポテンシャルが極めて高いことから、JCEPでは、その有効利用を、地元のご理解とご協力の下で推進しているところ。 発電への利用に止まらず、発電に使った温泉水や温泉熱のカスケード利用、すなわち農業用ハウスや魚類などの養殖への多段階利用が可能であり、温泉発電と地元温泉観光地との共存策として、当該地域の発展、活性化に大いに資するものと考えている。

温泉発電は、発電能力は小さいが、占有面積は小規模なため、必然的に小さい建設費で済み建設期間も短い。特に既存温泉を活用した場合、温泉水の枯渇問題や有毒物汚染問題などは生じにくいので、温泉地の活性化に大いに寄与すると考えている。


講演1 「土湯温泉バイナリー発電所の運転状況と復興まちづくり」 
株式会社元気アップつちゆ 代表取締役 加藤 勝一 殿 

  加藤勝一氏

1400年以上の歴史を有する温泉地であるが、東日本大震災では、大きな被害を受けた。温泉街の復興協議会から発展して、「まちづくり」取り組む中で、「停電の無い温泉場に」という合言葉から、温泉を活用した「バイナリー発電事業」、砂防堰提を活用した「小水力発電事業」に取り組んだ。

バイナリー発電所の実現にあたっては、JOGMECの債務保証制度を利用することで、銀行融資を受けることができた。 昨年11月の運転開始後の運転状況は、設備利用率95%以上と優秀な成績で、年間1億円の売電収入を見込んでいる。今年度は、経産省の地熱理解促進事業にも唯一のハード事業として採択され、温泉熱の2次利用によるテナガエビの養殖に取り組む。

再エネ事業はあくまでもまちづくりの一環。閉鎖した旅館を新たな観光施設に生まれ変わらせたり、発電所の視察・研修プログラムを独自に開発するなど、訪問客の拡大にも取り組んでいる。 震災のピンチをチャンスに変え、温泉観光地の将来を占う施設としていきたい。


講演2 「温泉熱を活用したまちづくり ~地場産業振興の可能性~」
株式会社NTTデータ経営研究所 社会・環境戦略コンサルティングユニット マネージャー 齊藤 三希子 殿

 
齊藤三希子氏

わが国では、53~150℃の低温の地熱資源が未活用となっていたが、太陽光発電や規制緩和を背景に、温泉発電が活発化している。2050年には、全国総計112万kwの電力が得られる試算となっている。この発電量は、原発一基分に相当し、同じ発電量を太陽光発電で賄うには、山手線の内側すべてにパネルを敷き詰める必要がある。

温泉は地域の重要な資源でもあることから、地域との信頼を作りながら取り組むことが重要である。 岩手県の西和賀町は、県内で最も高齢化・過疎化が進んでおり、将来も温泉街として存続していくためにも、まちづくりの必要性が求められている。豪雪地帯である西和賀町では、太陽光発電は不向きで、一年中安定的に供給可能な温泉発電が有効と見込まれる。 空き地やパワースポットをどうやって活用するか、町の文化・歴史を踏まえて住民がよく話し合い、まちづくりの計画を策定中である。私たちは、特定のリーダーに依存せず、一人一人のアイデアが生きるまちづくりを目指している。


講演3 「小型バイナリー発電装置の紹介と温泉熱発電への導入事例」 
株式会社IHI回転機械セクター 営業部 バイナリー発電システムグループ長 部長 山口 友彦 殿

 
山口友彦氏

発電装置メーカーからみて、温泉発電とは何か、導入の時の注意点などについて説明したい。 バイナリー発発電機は、温泉発電に限らず焼却炉の熱や工場廃熱等での発電が可能である。弊社では、50台程度の実績がある。大変コンパクトで、パッケージで納入できる強みがある。バイナリ発電は、電気事業法における法律上の位置づけは、火力発電所の気力発電に相当する。従って、電気事業法に則った設計・製造・申請が必要で、家電のように購入してすぐに繋げるというわけにはいかない。

熱交換を行うので、熱水・冷却水の水質は変化しないため、浴用など2次利用に活用可能である。冷却水は、井戸水や水道水・河川水を使うが、水道水利用ではメリットが出にくい。井戸水を使用する場合は、水質が良くない場合、冷却水側に関節熱交換器が必要になる。また、河川の水を使うことも可能だが、その場合は水利権に注意する。計画段階での注意点として、市街化調整区域、自然災害多発地域など、設置場所の事前調査を行うこと。正確な資源量の把握、冷却水源の確保、発電量を見込んで過大な計画を立てないこと。資源量に見合った設備導入を検討すること。


講演4 「地域と共存する発電所を目指して ~ JCEPの取組」  JCEP理事 鈴木 和幸

  鈴木和幸

JCEPでは、地元地権者・自治体と連携し、事業実現にむけて支援をしている。また、多くの自治体や先進事例を足がけて巡り、実際の課題等のヒアリングも行ってきた。 

温泉熱の2次利用例としては、奥飛騨でのチョウザメ養殖の事例や、湯布院でのキクラゲ等も視察をしてきた。チョウザメの例では、生育期間が非常に長く、最初は大変苦労したと聞いた。こういった事業を温泉発電と組み合わせれば、初期のリスクを下げられる。 また熊本県・大分県は、先進地であるので、頻繁に訪問しているが、旅館やお土産店など観光へのダメージを非常に大きいと聞いた。温泉発電は災害に強く、地産地消可能な電源であるので、こうした緊急時にこそ、災害拠点として、また、観光・地域振興の一環としてもっと活用が進めばよいと考えている。特に今回のような災害を受けた地域では、「温泉発電特区」として、送電網の強化や、収入が地域へ還流する仕組みなどを優先的に整備し、一種のモデルケースを構築してほしい。 土湯温泉の事例のように、「ピンチをチャンスに」変える発電事業として温泉発電・熱利用が進むよう我々も微力ながら声を上げていきたい。

JCEPでは、自身でも、岐阜県にて実際に温泉発電に取り組んでいる。ここで得た知見を皆様に共有するとともに、過疎地や、温泉地の活気を取り戻す一つの策として提案を続けて参りたい。今後ともぜひご注目を頂きたい。


なお、今回の講演会開催に当たり、ご後援頂いた各団体様、マスコミ各社様に心より感謝申し上げます。
後援:独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構/一般財団法人 エンジニアリング協会/公益財団法人 原子力バックエンド推進センター/環境新聞社/電気新聞/福島民友新聞社/フジサンケイビジネスアイ/新エネルギー新聞

地熱_講演会 JCEP第9回講演会