JCEP:Japan Clean Environment Promotion

第9回講演会『新たなエネルギー・環境戦略による強い経済とCO2排出抑制の実現』開催報告(4月19日開催)

2016年5月13日金曜日 11:28 AM, 記事カテゴリー:活動報告,講演会・イベント, 投稿者:namikishinntaro

JCEP講演会(2016/04/19)

 一般財団法人日本クリーン環境推進機構(JCEP)は、2016年4月19日(火)に「新たなエネルギー・環境戦略による強い経済とCO2排出抑制の実現~徹底した省エネ、低炭素エネの導入拡大そして新たなエネルギーシステム構築~」と題し、省エネ・新エネルギーをテーマでの講演会を開催致しました。

 

 我が国の中長期に渡るエネルギーの安定確保を、環境ニーズや関連制度等とどう整合性を取って進めるか、更には昨年12月の国連気象変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で合意を見た革新的なパリ協定を受けて、我が国として地球温暖化対策のために、どういう技術分野でどう中長期的に取組むか。この大きな課題は、国家的に
戦略性を持って進める必要があります。そしてこれらの戦略を進めるに当たって、最も基本となることは、「エネルギーと環境」を常に両立関係に維持する、ということです。すなわち、従来ややもすると対立関係や二律背反関係にあった「経済成長と地球温暖化対策」を両立関係に持っていくには、どうすればいいのか、という人類の英知が問われる国家的命題にどう対処するか。その答えは、政府のこれらの戦略に見えているのです。

 我が国のエネルギー環境分野を代表するお三人の講師から、おまとめになった戦略とその重要なポイントについてご講演いただきました。

開会の挨拶   JCEP会長 愛知 和男

 

愛知和男

まずは、甚大な被害に合われた熊本、大分の方々に心よりお見舞い申し上げたい。
本日は、エネルギーと環境をテーマに、ご多忙の講師の方々にお時間を割いて頂き深く感謝申し上げたい。強い経済を維持したいが、環境面を考えると設備投資もできない、と二の足を踏んでいた従前であったが、徹底した省エネや再エネを拡大させる、そして既にスタートを切っている新たなエネルギーシステムを確立していくことで、
エネルギー投資を促しエネ効率を高めていくことができるという戦略は大いに推奨すべきものと思う。特に、省エネ技術開発は最も我が国が得意とする分野で、将来の経済発展に大変役立つものと考える。

『省エネルギーが生み出す新たな経済成長』 
  株式会社住環境計画研究所会長 中上 英俊殿

 

中上英俊氏

省エネはエネルギー問題を考える上で最も基本的な課題である。昨年7月に決定された長期エネルギー需給見通しでは、増加すると見込まれるエネルギー需要を徹底した省エネで、石油危機後並みの大幅なエネルギー効率の改善を見込んでおり、産業、運輸、業務、家庭の各分野毎の取組みを徹底することが必須となっている。

コア技術に対する省エネは相当進んだが、中小企業などで課題が残されている。それには技術開発による経済性の確保が急務である。消費者、すなわち国民の省エネ行動が全てを
決めるので、消費者目線でものを考えるべきであり、消費者がスマートにならなくてはならない。

『エネルギー革新戦略について』
 経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 藤木 俊光殿

 

藤木俊光氏

昨年7月決定したエネルギーミックスでは、安全性(S)、自給率(E)、電力コスト(E)、温室効果ガス排出量(E)の3E+Sそれぞれの政策目標を持って議論。
昨年12月合意を見たパリ協定での我が国の削減目標は欧米に比して野心的で、世界最高水準の排出量原単位への挑戦とも言える。温室効果ガス排出量の約9割がエネルギー起源のCO2であることから、この▲26%の前提となるエネルギーミックスが実現することがこの挑戦の鍵となる。

「エネルギー革新戦略」は、エネルギー投資の拡大を通じた経済成長とCO2排出抑制の両立であり、この戦略による新たな展開として、例えば、「個社」単位から「業界・サプライチェーン」単位での省エネの実現や新たな省エネビジネスの担い手の創出が考えられ、具体的には製造業向けに設定したトップランナー制度を、流通・サービス業にも拡大し、今後3年で全産業の7割に拡大する。IoTを活用したエネルギー産業の革新では、IoT技術を使ってエネルギー機器の遠隔・統合制御を可能とする環境を整備するほか、節電した電力量を売買できる「ネガワット取引」の市場創設や蓄電池制御等の新技術を活用した新ビジネスを創出する。

このように、石油危機並みの35%効率改善を目指す徹底した省エネ、現状から倍増を目標とする国民負担を抑制した再エネの最大導入、そして柔軟性のある安定供給体制を確立するための電力システム改革などを含めた新たなエネルギーシステムの構築を進めることで、エネルギー投資を促し、エネルギー効率を大きく改善して強い経済成長への貢献とCO2排出抑制を両立させていく。
 なお、先月5日に安倍総理が福島訪問時に「福島新エネ社会構想実現会議」の設置と併せて、福島県を水素エネルギーの一大産地とする考えを表明。福島全県を未来の新エネ社会を先取りするモデル創出拠点とする取り組みを推進することとした。

『低炭素社会に向けたエネルギーシステムの新たな動向』  
 (公財)地球環境産業技術研究機構理事・研究所長 山地 憲治様

 

山地憲治氏

まず我が国のエネルギー・環境政策に関する審議の状況を説明。エネルギー革新戦略は、総合資源エネルギー調査会を中心に議論が進み、一方総合科学技術・イノベーション会議の中でエネルギー・環境イノベーション戦略は策定されてきている。エネルギーミックスの前提となる省エネの想定では、大幅なエネルギー効率改善を見込んでおり、電力コストを下げる中でやり遂げるにはかなりの努力が必要。

再生可能エネについては、国民負担の抑制を図って最大限導入するが、省エネの推進、原子力の再稼動で電力コストを低減化し、まずは安定電源である地熱、水力、バイオマスを物理的限界まで導入することで原子力を代替し、その後、風力、太陽光といった自然変動再エネを可能な限り拡大して火力を代替する。各電源の2030年モデルプラント試算結果並びに原子力及び化石燃料価格の感度分析結果について解説。電力システム改革が2015年4月より3段階で進められる中で、広域融通を促進し、再エネ導入の拡大
を図っていくなど、密接にリンクさせていくことが重要。また、FITの見直しは5つのポイントがあるが、中でも新認定制度では系統への接続契約締結を要件化するなどが重視される。

2016年1月策定の第5期科学技術基本計画で、世界に先駆けた「超スマート社会」
の実現を未来の姿として共有し、その取組みを「Society5.0」として推進することとしており、これも未来産業創造と社会変革に向けて新たな価値創出する取り組みとなっている。
こういったエネルギー・環境に関する大きな動きの中で5月に伊勢志摩サミットが予定されており、その前に「地球温暖化対策計画」が閣議決定されることになっている。我が国の中長期に渡るエネルギー環境政策が、内外の大きな動きのなかで欧米と比して遜色ない結果を生んでいくための戦略となっている。

『閉会に当たって』  JCEP理事長 石村 毅

 
石村毅

エネルギーと環境という分野は両者密接不可分の関係にあり、両立関係を維持しながら人類の発展に結びつけるという命題にどう応えていくかの英知が問われており、この命題への答えが本日の2つの戦略であり、これから政府決定される地球温暖化対策計画である。これらを確実に進めるためには、何よりも国民一人一人の正しい理解と着実な実行が決め手となる。

JCEPは、一貫して地球環境のクリーン化に資する持続可能なエネルギーミックスを追求する事業活動を展開している。現在、我が国では福島の環境回復と復興が国家的命題であり、JCEPはこの喫緊の課題に心血を注ぐと共に、復興の支援にも併せて汗をかいてきた。
 4年後は東京オリンピック・パラリンピックが開催される。そこで世界に我々が訴えるテーマとして、私は「エネルギー環境先進国・ニッポン」がふさわしいと考える。2020年にその具体的な姿をお見せできるよう、JCEPもそのフロントランナーとしての役割をしっかりと果たして参りますので、今後ともご支援いただけますよう、よろしくお願い致します。

なお、今回の講演会開催に当たり、ご後援頂いた各団体様、マスコミ各社様に心より感謝申し上げます。
後援:一般社団法人ESCO推進協議会/:一般財団法人省エネルギーセンター/公益財団法人原子力バックエンド推進センター/環境新聞社/電気新聞/日刊工業新聞社/福島民友新聞社/フジサンケイビジネスアイ

省エネ_講演会
JCEP第9回講演会